こんにちは。すっかり朝晩は気温が下がってきて、スーツのジャケットが必要になってきました。今日は、ジャケットの袖丈つめのご紹介です。
袖丈をつめるとなると、袖口でつめる方法と、袖山でつめる方法があります。スーツのジャケットの場合、ほとんどが袖に”あきみせ”というデザインがあります。ボタンが付いていて、開け閉めはしませんが、ボタンホールがあいている、”本切羽”(ほんせっぱ)仕様のものは、袖山で短くしなければなりません。
よくお客様が、ご自分でやろうとして袖山をほどき始めたものの、途中で諦めてしまうことが多いお直しです。それだけ、難しいお直しの一つです。当然、時間も技術も必要です。
写真のジャケットはTheoryのレディースジャケットです。袖丈が64cmもあります。手の甲が完全に隠れてしまう長さです。5cm短くして、59cmにします。
袖口に定規をあてると、5cm短くするとボタンにかかってしまいます。そのため、袖山をほどいてお直しをします。
ジャケットの袖山には、通常「ゆき綿」と「肩パット」が縫い付けられています。そして裏地も付いています。表からは見えない、この仕様が初めての方にはびっくり!ということになります。
ほどく前に、必ず、袖山や袖下、袖ぐりと見頃の合印を必ずすることが大切です。もちろん、ゆき綿と肩パットにも必要です。
写真の右が、袖をほどいて、袖山を5cmカットしたのもです。袖山の形状は、オリジナルの袖山をコピーするように印をチャコでつけます。裏地も同様に、印をつけてカットします。
あとは、もともとの袖つけと同じように縫い付け直します。袖山の丸みを出すための『いせこみ』とゆき綿、肩パットつけは慎重に、正確にしないといけません。
見頃の裾よりだいぶ長かった袖口が、5cmつめたので、裾とほぼ同じくらいになりました。袖丈が長過ぎると、手のひらに袖口がかかってしまい、擦れてしまいます。そして、汚れもつきやすくなってしまいます。
ジャケットの袖丈を決める場合、好みもありますが中に着る、シャツのカフスが1cmくらい見える長さが適切かと思います。腕を曲げたり、前に腕を伸ばしたりした時のシャツの見え方もチェックしましょう。
チェック柄の生地だと、袖山でつめる場合、見頃との柄合わせが合わなくなってしまうことも要確認です。
一般的に袖山で袖丈をつめる場合は、6000円以上かかってしまいます。高いお直し屋さんだと、10000円以上するところもあります。
少しでも、お直しの価格をおさえたい場合は、ジャケットを購入する時に見てほしいところがあります。それは、袖口が本切羽かどうか確認してみてください。ボタンホールのかがりが、ほどけるタイプのものだと袖口でつめることができるので、少し安くお直しできると思います。