昨日に引き続き、古着を買う時のチェックポイントの『ジャケット編』です。ジャケットといっても、ブルゾン、Gジャン、ピーコートなどカジュアルな上着、スーツのジャケット、そしてコートも含めると多種多様です。今回は主に、スーツのジャケットについてお話しします。ジャケットのデザインで、最も重要視するのがシルエットではないでしょうか。もちろん好みによりますが、体にフィットしていて、着丈、袖丈がバランスがいいこと。ジャケットを選ぶ時は、インナーに必ずシャツを着て合わせることが重要です。袖丈を見る時にシャツのカフスがどれくらい見えるか、首周りのサイズや前中心のVゾーンの深さが確認できます。ジャケットはデザインディテールが多いので、特に古着におけるチェックポイントをご紹介します。
チェックポイント① 肩パット
「ジャケットは肩で着る」と誰かから聞いたことがあります。肩の印象って大事ですよね。バブルの頃は広い肩幅に分厚い肩パットが主流でした。最近は、肩パットがつけられていないものもあります。古着の場合、以前着ていた人が肩パットを外していたり、オリジナルのものを替えたりしている場合があります。通常、ジャケットは裏地が付いているので、内側を必ず確認しましょう。以前、お客様のジャケットで裏地の肩線の縫い目がほどけたままだったり、肩パットの止めつけがほどけていたり、まつり縫いが雑だったりしたのを何回も直したことがあります。また、随分古いジャケットですと、肩パットが劣化して、茶色い粉末状になり、裏地の中で散乱していたケースもありました。この場合、新しい肩パットに交換する必要があります。
袖口の開きみせ部分、通常4個ボタンが付いています。
チェックポイント② 袖口をよく見る!
古着の場合、袖丈が直されていることが多く見られます。スーツのジャケットの場合、「開きみせ」という袖口のデザインがあります。実際には開閉しないボタンの仕様です。しかし、ボタンが欠けていたり、ゆるく付けられていないか確認が必要です。直されている開きみせは、開きの長さが短かったり、ボタンホールのかがりの跡残りがしています。そして袖裏をめくって見ることが大切です。写真のように、袖口の裏地が擦れて切れてしまっていたり、まつりがほどけていたり、汚れていることがあります。袖丈が短い場合、縫い代で丈出しができるかどうかも重要です。袖丈は1cmでもだいぶ印象が変わってきます。
チェックポイント③ 裏を総チェック!
裏付きのジャケットは一度、写真のように裏返してみましょう。左の前見返しに、ネーム刺繍がされていませんか?以前着ていた方の名前が入っていることがあります。そのまま着るか、刺繍をほどくかを考えましょう。表生地は綺麗なのに裏地がボロボロ・・・ということがあります。特に袖ぐりの一番深い「釜底」と呼ばれる、脇の下の部分が擦れていたり、ほつれていたりすることが多いです。そして、内ポケットのチェックも裏に返してみないと見逃しがちです。ボタンがなかったり、ポケットの底に穴が空いていたりします。あるいは名刺が入っていたり・・・。よく、左の内ポケットにペンをさす方がいますよね。このポケット口、汚れていたり、下の写真のように擦れていたりします。
ジャケットは購入する頻度が、シャツやパンツと比べ少なく、価格も高いと思います。長く着るためにも、古着を買う際は慎重に選ぶことをお勧めします。いくら安かったから・・・といっても、せっかく買ったのにすぐに手放したり、タンスの肥やしにするのは良くないですよね。SDGS目標の12「作る責任、使う責任」にも、洋服選びが重要だということが関わっています。私がやっている洋服のお直しも、このSDGSに関係しています。お客様の服が少しでも、気持ち良く、長く着れることを願って直しています。